ジローとサブローはコインの裏表
僕サブローは、いつも玄関にすわって女主人の塗りの下駄箱に自分を映していた。
なんと、僕は美男子なんだろうと、いわんばかりに。
だが、ジローには、いつも負ける。体の大きさ、足の太さ、ワン力・・・すべて、負ける・・・
それにあの忠誠心にも。
だけど僕は、美男子だし、頭がいい。紐をほどくことは、朝飯前!!おいそれと、ジローに負けを認める
わけには、いかない。
ご飯の時、いつも、ジローが僕をにらむ。 で、僕は、落としたふりをして、肉の塊をジローのそば
へ、置き、立ち去る。
そんなに、食べたいわけでも、ない。僕はクラッシックを、聞いていたほうが、いいんだ!
特にベートーベンのピアノソナタ熱情3楽章が好きだ・・・・
僕は孤独を愛しているんだ。
ジローは僕に新しく与えられた小屋が気に入らなくて、広告紙をつめろと、上からにらむ。
僕はしょうがないので、広告紙や、新聞紙を自分の小屋へ、つめる。
やらないと、耳をひっぱって、ひきづられる。
ジローは、部屋中を犬小屋にしているくせに!!
こんなレベルの低いジローと一緒にされて、たまるものか!
だが、目があうと、もうだめ。 やるか!!来い。ということになる。
8年目くらいに決闘で、初めて勝った。そして、10年目ジローは、カミナリが、怖くて僕のところに
隠れにきた。そして、立場は逆転したかのように、みえた。
でも、やはり、ジローは僕よりは強かったし、声も太かった。僕よりも長生きした。
弱い僕もジローというライバルのおかげで、15年、生きた。ジローも数ヶ月後命つきた。
ジローも僕もコインの裏表、大して違いは、ない。ジローも本当はそう、思っていたんだろう。
1月10日はサブローの命日です。